影響がありますね。西郷を高く評価している書籍にも注目が
集まっています。
その1つが、明治のキリスト者、内村鑑三が英文で書いた
「代表的日本人」https://amzn.to/2lJaPI9 です。
この本は、明治のキリスト者内村鑑三が日本の精神性の深さを
世界に知らしめようと、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、
中江藤樹、日蓮という五人の歴史上の人物の生き方を通して
書かれた日本人論です。
今年の1月にNHK「100分de名著」で内村鑑三を紹介した
若松英輔さんの公開講座が
https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/50_uchimura/index.html
6/27水戸でありましたので参加してまいりました。
【内村鑑三、そして「代表的日本人」とは?】
内村鑑三は明治を代表するキリスト者であり、
「代表的日本人」の著者。この「代表的日本人」は
岡倉天心『茶の本』,新渡戸稲造『武士道』と共に、
日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した
代表的な著作です。
内村は、言葉で自分の生涯を後世への贈り物=「遺物」に
しようと説いていました。
その内村が説く「代表的日本人」として
西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮の五人を
あげ、その生涯を叙述し、日本人が大切にしている文化・
思想を英文で西欧に伝えました。
内村鑑三の思考を解説する若松さんの話は大変分かり
やすいだけでなく、ネッツトヨタ南国の経営哲学にも
内村の思想は影響を及ぼしているのではないか、と
感じた次第。若松さんの話から気付いたポイントを皆さんと
分かち合えればと思います。
【「代表的日本人」内村鑑三と横田さんって関係あるの?】
「代表的日本人」は、1908年に英文で発表されました。
この本は、キリスト者である内村が日本の精神性の深さを
世界に知らしめようとして書かれました。
なぜ知らしめなくてはならなかったか、というと、
日本人を西洋人に対して弁護するためです。
【では、彼は日本人の何を弁護しようとしたのか。】
それは、明治以降、1877年西南戦争、1894年日清戦争、
1904年日露戦争と、ほぼ10年毎に国内外の戦争に明け暮れる
日本人は偏見を持たれていました。「盲目的な忠誠心」
「極端な愛国心」が特徴の民族との一面的な捉え方が
なされていたからです。
札幌農学校を首席で卒業し英語に堪能であった内村は、
真の日本人の精神性を海外に伝える必要性を痛感していました。
もちろん、この本が1908年に出版されて、すぐに欧米から
日本人への理解が進んだわけではありません。
しかし、ドイツでは文豪ヘルマン・ヘッセの父
ヨハネス・ヘッセがドイツ語に翻訳し、フランスの
クレマンソー首相(1841年-1929年)が1925年に本著を読み、
健康さえ許すならば日本に行き内村と話したいと語り、
後に、ケネディ大統領がこれを読んで、
「政治家として最も尊敬する人は上杉鷹山」と1963年の
大統領就任演説後、日本人記者の質問に答えた話は有名です。
内村鑑三が描きたかったのは、日本人は、
好戦的な野蛮な民族ではなく、儒教・陽明学の教えを
信奉するやさしさ、思いやりを持った人間であり、
欧米のキリスト教徒が大切にしている精神と同じものを
日本人も大切にしている、という思いでしょう。
内村自身、代表的日本人に紹介した5人と
Jesus(イエス・キリスト)に影響を受けた日本人だからです。
【内村と横田さんの経営哲学】
さて、私たちは、7月から横田さんから経営哲学を学ぶわけ
ですが、これまでも多くの企業経営者やリーダーの方々が
ネッツトヨタ南国さんやビスタワークス研究所さんから
学んだものの、なかなか実践には至らない、その精神をうまく
自分の現場では持ち込めず悩まれていると聞いています。
横田英毅さんの経営哲学を深く学ぶには、
ネッツトヨタ南国の経営を学ぶだけでは本質に迫れない。
単なる表層をなぞったに過ぎないと私は考えています。
多くの企業が、横田英毅さんの講演や勉強会に参加するものの
うまくいかないのは、その表層だけをなぞっているからです。
ネッツトヨタ南国が行なっているイベントをマネたところ
で、あなたの会社の社員が内発的動機を持った社員に
変われるはずがありません。
表に現れた現象を見るのみではなく、その底流に流れる思想、
経営哲学を理解したところから、学ぶ必要があるのです。
そこで、以前横田さんから伺ったこと、横田さんが紹介された
書籍等からの情報から判断すると、横田さんの経営哲学の中には
キリスト教の博愛主義の考えと、論語や陽明学にある
「知行合一」の考え方が横田さんの根本にあると発見しま
した。
単に「いい会社にしよう」ということと
「全社員を勝利者にする」とは、思想的にも、大きな違い、
大きな飛躍がある、と思いませんでしたか?
普通の経営者と横田さんがなぜ違いがあるのか、
自分の会社とネッツトヨタ南国との違いはどこにあるのか。
そのヒントは、ネッツトヨタ南国の母体企業グループ
四国の「西山グループ」にあると思います。
【西山グループとは?】
http://www.nishiyamagroup.com/
同社の歴史などひも解くと、その中心企業である
西山合名会社(現株式会社西山合名)は、
西山亀七、横田亀太郎がキリスト教の精神を
経営理念として大正6年に設立したものであることが
明記されています。
http://www.nishiyamagroup.com/group/scty/31.html
西山グループ創業者の2人は、
100年前の創業時(1918年ごろ)から
毎週日曜日午前中に行なわれていた礼拝と
牧師さんの説教を社員にも聞かせたい、と四国で
はじめて、日曜日を休日にした企業だそう。
当時、盆と正月しか休まないのが当たり前の時代、
日曜日を定休日にした企業はなく、
また、教会で話を聞くため、という理由に
「あの会社潰れるぞ」「そんなに休むなんて
どうかしている」と批判されたそうです。
今では、それは先見性ですね。
横田さんは、祖父の亀太郎さんから色々とお話を
聞かされて育ったそうです。キリスト教の教えだったり
倫理的なお話だったりしたそうです。
(「教えないから人が育つ~横田英毅のリーダー学」
天外伺朗 著 p26-28 より)
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勉強会「東海示道塾 至高編」の残席わずかとなってきました。
間違いなく投資した以上のリターンが得られると思います。
社外研修受講申請書に記載する事項も一緒に考えていきますので
ご遠慮なくお問合せください。
また、横田英毅さんの経営哲学を学び、 新しい時代を切り開いていこう、と
意欲的な経営者・ 経営幹部の方がおられましたら、ぜひご紹介ください。
ご一緒に学ぶ良い機会と思います。
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現在、西山グループが運営する高知教会は、
板垣退助ら自由民権運動との関わりからスタートし、
明治のキリスト教教会の発展に大いに寄与したそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9F%BA%E7%9D%A3%E6%95%99%E5%9B%A3%E9%AB%98%E7%9F%A5%E6%95%99%E4%BC%9A
この高知協会の基礎を創った植村正久は、
日本のキリスト教教会の形成に大きな役割を果たした方です。
田村直臣、松村介石、内村鑑三と共に「キリスト教界の四村」
と呼ばれたそうです。
植村正久が支援し、後には、日本日本基督教団の指導者
となる多田素牧師が高知の教会を日本屈指の教会へと
成長させたといいます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E7%94%B0%E7%B4%A0
多田牧師は、1888年から1940年まで高知教会で活動された
そうです。
西山グループの創業者=横田さんの祖父たちは、
板垣退助の自由民権運動の流れを受けた、
このキリスト教の教えに、そして、この多田牧師の話に
影響を受けたものと思われます。
さらに、働き方のヒントとなるのが、このキリスト教の
教えです。
この明治期以降に広がる日本のキリスト教の教えは、
かつて戦国安土桃山時代に伝わったカトリック系ではなく、
節約・勤勉・営利を基とする【プロテスタント系】です。
プロテスタントの思想といえば、
マックス・ウェーバー著
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」
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ここには節約、勤勉、営利の追求の肯定があります。
最初から利潤の追求を目的とするのではなく、
行動的禁欲をもって天職に勤勉に励み、その「結果として」
利潤を得るのであれば、その利潤は、安くて良質な商品や
サービスを人々に提供したという「隣人愛」の実践の
結果であり、その労働が神の御心に適っている証であり、
救済を確信させる証である、という理論なのです。
この「最初から利潤の追求を目的としない」「結果として利潤」
という考え方は、一般の考え方とちょっと異なりますね。
横田さんの目的目標理論のベースに通じるものと思います。
プロテスタント教会の教義によって西山グループの人々は、
寸暇を惜しまず働き、節約(無駄を省くなどの支出の抑制)
し、収支を管理して合理的経営を行なってきたのでしょう。
また、生産性を上げるために、科学的合理的精神に基づいた
効率の良い生産方法も導入されたものと思います。
その「結果として」の利潤の追求に励み、禁欲的労働によって
資本は貯蓄され、創業100年となる今日の企業グループを
形成してきたものと推察されます。
その一方で、行き過ぎた合理的経営は人間性を損ないます。
また、信仰が薄れてゆくと、宗教としての色彩が弱まり、
利潤追求自体が自己目的化するようになります。
「結果として利潤」ではなく「利潤追求が目的」への
変容が起こり、
「内からの動機」に基づくものであった利潤追求が、
「外圧的な動機」によるものに変貌していきます。
この行き過ぎた合理的な経営に対し、
1980年に起業されたネッツトヨタ南国
(当初は、トヨタビスタ高知)では、
人間性の快復と「内からの動機」に基づく経営への
回帰へのシフトが起こったものと推察されます。
この人間性の快復と「内からの動機」に基づく経営
というテーマは「横田経営哲学」の底流に流れる
ものと思います。
ここを抑えたうえで、7月からの講座に参加することで、
具体的な施策、取組構築が肚で理解できるのではないかと
思います。
多くの経営者の方は、単に表層のイベントやアンケートと
いったツールを導入すれば変わるんだ、と勘違いして、
かえって自社の企業文化が育まれず、思ったような成果が
でない、と悩まれているように思えてなりません。
横田さんだけに焦点を当てるのではなく、その背景に
、
西山グループ、
内村鑑三「代表的日本人」
そして、
プロテスタント系キリスト教、
マックス・ウェーバー
このバラバラと思える点と点をつないだ線の先を
みた上で、「自分はどうあるべきか」その大元を常に
確認しながら歩んでいけるといいですね。
それでは。今日もお元気で!